マスター、久しぶりに「心を鬼にして」言いました。
タイヤの交換工賃が安いとは言え、少なからず工賃は掛かるわけです。
「その工賃に見合った効果が得られない」と、マスターは判断しました。
ですから、お客様に率直に申し上げました。
製造年2006年、約10年前のスタッドレスタイヤ。
これを、今履いてる夏タイヤと組み替えて欲しい、というご依頼。
「はいはーい。 仰るとおり作業いたしまーす!」
なんて事は、タイヤウォールでは出来ません!
だって、スタッドレスタイヤにすれば、雪が降っても走れる!そう思って変えようとしているんですよね?
メチャメチャ危険です!
うっすら新雪の上なら、かろうじて走れるかもしれません。
でも、関東の雪は、すぐに溶けてシャーベット状になったり、橋の上はアイスバーンになります。
「その状態で、スタッドレス履いてるから大丈夫~!」なんて気分で走ると、大変な事になるから。
だから、作業工賃を頂けるから作業しまーす、なんて気分にはなれません。
もちろん作業予約ですから、お客様の為にこの時間を割いています。
この時間、別のお客様からの作業依頼があったのですが、こちらが先約なので、別の日にと、お断りしているんです。
ですから、作業しなければ、その時間の利益は「ゼロ」なんです・・・よ。
でも、マスターは、お客様の立場で考え、決断します。
スタッドレスタイヤが、滑らない理由、それは、溝の構造では無いんです。
「如何にして、タイヤと路面との間に、水を挟まないようにするか」なんです!
その為、スタッドレスタイヤには、たくさんの溝が切ってあって、かつタイヤのゴムの中に水を弾く成分を含んでいるんです。
そして、最も勘違いしやすいのは、タイヤの溝で止まると思い込んでいる事。
「溝が雪を掴む?」そんなんでは雪道では止まれません!
残念ながら、溝の構造だけでは、水を弾く事は出来ないんです。
10年も経てば、水を弾く成分は全部抜け落ちてます!
劣化すると、水を弾くどころか、水をくっつけちゃうので、もっと滑りやすくなるんです。
何度も言いますが、幾ら溝が深くても(山があっても)雪道では止まれないのです!
そして、上の写真を見てください。
画面下側のビードの部分、変形しているのが分かりますか?
10年も経てば、タイヤのゴムは劣化し、中のワイヤーも伸びたり、劣化したりしていますので、真円を保てなくなっています。
これは、夏タイヤでも同じ事ですが、更に過酷な状況を走るスタッドレスなら、尚更危険です。
しかも、今回のご依頼が「組み替え」(ダメダメ離婚は一度きりっ!って言ったでしょ!)
エアーが漏れたり、最悪は爆発バーストするかもしれませんよぉ。
雪道でパンク・・・。 サイテーでしょ?
お客様、マスターの発言に「唖然」としてましたが、マスターの話をご理解くださったのか「じゃぁ~、これ廃棄してください・・・。」タイヤ4本を置いて帰りました。
お客様は「変な店に来ちゃったなぁ~」なんて後悔しているかもしれませんね・・・。
でも、マスターが損したってイイ、お客様が損しないのであれば・・・。
これでイイのだぁ~。これでイイのだぁ~!(泣)。